2012年8月2日木曜日

簡便な方法による処理

宗教法人の会計指針は、規模や内容の違いを超えてすべての宗教法人がこの指針の方法によることを要請するものではない


第1類型の財産目録のみを作成する法人は、会計年度末に資産・負債の有高を調査して積み上げる方法をとることによって、財産目録を作成すれば宗教法人法の要請を果たすことができる


第2類型の財産目録、収支計算書を作成する法人は、第1類型に加えて現金預金の収支のみを記帳することによって、収支計算書を作成すれば宗教法人法の要請は確かに果たすことができる。しかし、こうした法人も、自らの状況をより良く把握し、把握した状況をより良く報告することを目標として、この指針の提案する方向に移行することが望ましいと思われる。


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宗教法人の会計と減価償却

減価償却は、そもそも企業会計において適正な期間損益計算のために行う費用配分の手続である。
企業会計では経営成績と呼ぶ効率性の測定のために行う計算手続の一つである。非営利法人のなかでも効率性の測定を行うことが適当である法人においては、減価償却は確かに有用にして必要な手続といえる。
しかし、宗教法人の場合は、効率性の測定は必ずしも要請されないし、仮に要請されたとしても、これを計数化することには再び議論の余地があるところである。
したがって、こうした費用配分の手続としての減価償却という考え方は宗教法人には基本的になじまないものと思われるが、期間の経過に伴って価値の減少していく資産を取得価額のまま表示しつづけることはかえって計算書類の利用者の判断を誤らせるおそれがあることも確かである。したがって、減価償却を行うかどうかは、それぞれの宗教法人の選択に委ねることにした。





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土地、建物等の資産


宗教法人には、昔から所有している価額の付されていない土地や建物がある。貸借対照表に計上するに当たりこれらにどういう価額を付するかという問題がある。


土地については、原則として備忘価額による方法や価額を付さない方法ではなく、専門家の鑑定価額等のほか、公示価額や路線価、固定資産税評価額等を基礎として算定された価額等の公正な評価額を算定して価額を付することが望ましい


建物については、その建物の性質に応じて、備忘価額による方法や価額を付さない方法などが認められる場合もある思われる。


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宗教法人特有な資産の評価

宗教法人は特有な財産を所有する場合が少なくない。
すなわち、崇拝の対象となっている仏像、宝物、石碑等々である。これらに価額を付するのはいかにも難問である。これらの中には金額を付することが尊厳を害するようなものもある。また、信者より寄贈されたものにどのように価額を付するかという問題もある。


宗教法人の会計指針ではこれらの特有な資産の価額について、第一に、まず、評価の可能な資産については評価額を算定して、価額を付することを求めることとしている。第二に、しかし、評価の困難な資産については、備忘価額を付することができるものとしている。そして、第三に、いずれも適当でないと法人が認めた場合には、金額を付さないこともできるとした。


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資金の範囲

宗教法人の会計指針では、資金の範囲についての例示は行わなかった。それぞれの宗教法人の状況に応じて様々な考え方があることを考慮し、資金の範囲についての会計方針の選択をそれぞれの宗教法人に委ねることとしたのである。そうはいっても、資金範囲の決定は、収支予算書や収支計算書を作成する上での会計方針としてとりわけて重要である。
したがって、資金の範囲については宗教法人がどういうものを選択したか明らかにするため注記することが適当である。
資金の範囲としては、例えば、次のものが考えられる。
1.現金預金
2.現金預金、短期金銭債権債務及びこれに準ずるもの
このようなものの中から宗教法人が、それぞれの規模や資産構成などを勘案して、最も適切な資金範囲を決定することになる。


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貸借対照表と財産目録

貸借対照表は複式簿記による継続記録の結果として誘導的に作成される計算書類である。対するに、財産目録は会計年度末に資産・負債の有高を調査して積み上げて作る計算書類である。宗教法人法では財産目録は全ての宗教法人が作成しなければならない必要書類であるのに比ベ、貸借対照表は任意書類である。 しかし、この指針では、貸借対照表を計算書類の基本に位置付けた。したがって、財産目録は貸借対照表の科目明細としての役割を担うことになる。



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正味財産増減計算書の役割

収支計算書に示される資金の収支差額は、貸借対照表の資産と負債の差額としての正味財産の一部を構成する。当年度の収支差額は当年度の正味財産増減額と必ずしも一致するわけではない。資産の取得や資金の借入など、収支差額以外の資産・負債の増減によって正味財産が増減する場合がある。そこで、こうした増減の内容を明らかにすることによって、収支差額と正味財産のつながりを示し、会計的整合性を確保する方法が行われている。それは収支計算書と貸借対照表の連結環とされる正味財産増減計算書を作成する方法である。
正味財産増減計算書は宗教法人法で必ずしも必要とされている計算書類ではないが、この指針では会計的整合性を重視する立場から作成することを提案した。その場合、本来の趣旨に基づいて資産負債の科目別に増減額を示すストック式と呼ばれる方法をとることを原則とした。ただし、フロー式と呼ばれる発生原因別に正味財産の増減を示す方法も選択できる余地を残すこととした。



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収支計算書の役割


宗教法人は他の非営利法人と同じく予算準拠主義に立っている。
すなわち、まず予算を編成し、これに決議機関の承認を得て、代表役員が予算の執行に当たるというものである。このような性格を持つ予算は、収支予算書として編成されることになり、また、こうした収支予算の執行の状況を明らかにするものが収支計算書である。収支計算書が予算・実績の対比で示されるのも、そもそもはこうした要請に応えてのものであり、収支計算書の表示項目もこうした要請に照らして自ずから定まってくるものであるといえる。



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一般原則の意義


宗教法人の会計は自主性、自律性が尊重される。しかし、そのために、法人の会計が放恣に陥ることのないように留意する必要がある。この指針の一般原則はそのことを明記したものである。なお、一般原則の最上位に「真実性の原則」が掲げられているが、これは会計用語として慣用的に用いられている会計上の真実性を表すものであって、それ以上の含意はない。



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宗教法人会計の指針の性格

宗教法人法に規定されている計算書類のうち、すべての宗教法人が作成しなければならないのは財産目録である。
収支計算書は原則として作成しなければならないが、一部の小規模法人には当分の間免除されている。


貸借対照表は作成していれば、所轄庁に提出することとなっているが、宗教法人法によって作成が義務付けられているわけではない


したがって、宗教法人はどの計算書類を作成するかによって、次の3つの類型に分けることができる。第1類型は、財産目録だけを作成する法人である。
第2類型は、財産目録と収支計算書を作成する法人である。
第3類型は、財産目録と収支計算書と貸借対照表を作成する法人である。


これらの類型は、宗教法人法に規定された計算書類の体系である。この指針は、しかしこのような類型には捕らわれなかった。公認会計士としての専門的職能の立場から会計の整合性の確保に重点を置き、法的義務の範囲を超えて「宗教法人会計の望ましい体系」を示すこととした。そのために、この指針は収支計算書、正味財産増減計算書、貸借対照表及び財産目録の4つの計算書類の体系で組み立てられている。




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財産目録の区分

財産目録は、資産の部と負債の部とに区分し、その差額を正味財産とする。






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財産目録の価額


財産目録の価額は、貸借対照表記載の価額と同一とする。




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財産目録の内容

財産目録は、当会計年度末におけるすべての資産及び負債の名称、数量、価額などを詳細に表示するものである。なお、宝物などの特有な財産で価額が付されていない資産についても名称、数量などを記載するものとする。


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正味財産

正味財産は、総資産の額から総負債の額を控除した額をいう。



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負債の計上


負債は、発生事実に基づいてもれなく計上するものである。




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資産の貸借対照表価額


(1) 資産の貸借対照表価額は、取得価額とする。ただし、取得価額から相当の減価額を控除することができる。
(2) 交換、受贈等により取得した資産の取得価額は、原則として、その取得時における公正な評価額によるものとするが、その評価が困難な資産については、備忘価額を付することができる。
(3) 宝物などの特有な財産で、評価額などを付することが適当でないと法人が認めた場合には価額を付さないことができる



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宗教法人の貸借対照表の区分


 (1) 貸借対照表は資産の部、負債の部及び正味財産の部に分かち、資産の部は特別財産、基本財産及び普通財産に区分するものとする。
 (2) 普通財産は固定資産及び流動資産に、負債の部は固定負債及び流動負債に区分して表示することができる。



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宗教法人の貸借対照表の内容

貸借対照表は、当会計年度末におけるすべての資産、負債及び正味財産の状況を明瞭に表示するものである。



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宗教法人の正味財産増減計算書の構成

(1) 正味財産増減計算書は、当年度収支差額のほか、資金以外の資産及び負債の各科目別に増加額及び減少額を記載して当年度正味財産増加額(減少額)を求め、これに前会計年度より繰越の正味財産額を加算して当年度末正味財産額を表示するものである。
(2) ただし、(1)の方法に代えて、当年度正味財産増加額(減少額)の発生原因を示す方法を用いることができる。


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宗教法人の正味財産増減計算書の内容

正味財産増減計算書は、当会計年度における正味財産のすべての増減内容を明瞭に表示するものである。ただし、正味財産の増減が極めて少額である場合等、相当な理由があるときは、正味財産増減計算書を省略することができる。


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宗教法人の収支計算書の表示方法

(1) 収支計算書は、収支の予算額と決算額を対比して表示するものである。
(2) 収支計算書は、収支の内容を経常収支と経常外収支とに区分して表示することができる。




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宗教法人の収支計算書の内容

収支計算書は、当会計年度におけるすべての収入及び支出の内容を明瞭に表示するものである。



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宗教法人の一般原則

宗教法人は、次に掲げる原則に従って会計処理を行い、計算書類を作成する。
1.宗教法人の収支及び財産の状況について、真実な内容を表示するものであること
2.会計帳簿は、次の方法によって正確に作成するものであること
 (1) 客観的にして検証性のある証拠によって記録すること
 (2) 記録すべき事実をすべて正しく記録すること
3.計算書類は、宗教法人の収支及び財産の状況を明瞭に表示するものであること
4.会計処理の原則及び手続並びに計算書類の表示方法は、毎会計年度継続して適用し、みだりに変更しないこと

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宗教法人の計算書類の作成

計算書類は、毎会計年度終了後3月以内に、作成しなければならない。


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宗教法人の決算

決算は、計算書類を作成し宗教法人の活動による収支及び財産の状況を明らかにするものである。


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宗教法人の予算

予算は、宗教法人の活動計画に基づいて作成するものである。

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宗教法人の会計区分

宗教法人の会計は、一般会計のほか特定目的のために特別会計を設けることができる。

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宗教法人の会計年度

宗教法人の会計年度は、宗教法人規則で定めた期間によるものとする。


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宗教法人会計の指針の目的と運用範囲

(1) 本指針は、宗教法人の計算書類(収支計算書、正味財産増減計算書、貸借対照表及び財産目録をいう。以下同じ。)の作成の指針となるものである。
(2) 本指針は、宗教法人が行う事業のうち、他の会計基準を適用することがより合理的な事業については適用しないことができる。

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宗教法人会計の目的


宗教法人会計は、宗教法人の正確な収支及び財産の状況を把握することにより、宗教法人の健全な運営と財産維持に資することを目的とする。



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宗教法人会計の指針について

平成7年の宗教法人法改正により、宗教法人の計算書類等の作成、備え付け、閲覧及び提出の見直しが行われた。
それまで、宗教法人は財産目録を作成し備え付ける必要はあったが、貸借対照表又は収支計算書については、作成している場合には備え付けることとされていたが、改正による宗教法人法第25条第4項の定めにより、一定の小規模法人を除き、決算日以後3ヶ月以内に収支計算書を作成し備え付けることとされた。また、これらの備付け書類を毎年所轄庁に決算日以後4ヶ月以内に提出することとなった。貸借対照表についても、宗教法人が作成していれば提出することが必要になった。さらに、これらの書類について信者等の利害関係者が閲覧請求をすることができることとなった。
宗教法人が自らの会計に係る情報を充実させ、本来の活動や事業の運営に役立てることは、宗教法人の社会性を確保する上で必要かつ重要なことである。かねてより関係各位から、それらを適切に実行していくため、会計の指針となるものが要望されてきた。このような動向を踏まえ、日本公認会計士協会では、宗教法人の会計について自主的に検討を進められてきたが、このたび「宗教法人会計の指針」として取りまとめたものである。 宗教法人においては、法人の規模や内容も様々であり、また、宗教法人の運営の自主性と自律性を重んじる宗教法人法の趣旨に照らしても、会計処理の方法や計算書類の作成方法について一律の基準を示すことには困難な面がある。その中で、本指針は現下の制約に捕らわれず、将来に向けて、宗教法人における会計処理及び計算書類作成の指針を提案するものである。したがって、本指針では、宗教法人法に規定された会計に係る書類の範囲に止まらず、会計の体系を保持する上で必要と考えられる書類の作成についても言及している。 本指針が多くの宗教法人における実務の便宜に供されることを期待するとともに、宗教法人の会計に関わる多くの方々の批判、意見を通じて、宗教法人の会計実務の発達に役立つことを願うものである。






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